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システム課・前川です。 去る3月18日、未だ緊急事態宣言下の東京へ行ってまいりました。 今年5月で期間満了を迎える管理業務主任者証の更新のための講習です。 場所...

  • 2021.04.01
システム課・前川です。
去る3月18日、未だ緊急事態宣言下の東京へ行ってまいりました。
今年5月で期間満了を迎える管理業務主任者証の更新のための講習です。
場所は皇居の北側にある科学技術館。
大都市・東京のど真ん中に、緑豊かな大きな公園がある風景は、コンクリートの街並みとのコントラストが何とも言えませんね。
さて、受講した講習ですが、午前と午後、合計4時限で行われます。午前が主に法令、午後が設備に関する内容ですが、この中で私が一番注目しているのは「最近の判例」です。
というのも、世の中が目まぐるしく変わる中で、法律が想定していない問題が発生し、最終的に裁判でその解決が図られるため、判例をチェックすることが、トラブルを未然に防ぐことにつながるからです。
そんな中から、今回紹介する判決は、マンションの管理組合の総会で決議した高圧一括受電方式導入に対し、専有部分の個別の電力供給契約を解約しないことが、他の区分所有者に対する不法行為に該当するのか、という問題です。
高圧一括受電方式とは、通常、電力会社と各世帯が電力会社と個別に契約した契約に基づいて100V、あるいは200Vの電力の供給を受けるのですが、大規模なマンション等の場合、電力会社から2000Vの電力をマンション等で直接供給を受け、その電力を共用部分や各専有部分で利用する方式です。
メリットは、高圧電力の電力単価が低圧電力に比べて安価であるというもので、デメリットとして変圧装置(キュービクル)を敷地内に設置したり、電気事業法に基づいた法定点検が必要、などです。
そんな高圧一括受電方式を分譲マンションで導入する場合、変圧装置の設置工事に加え、マンションの管理組合で導入の決議を経たうえで、一定期間内にすべての専有部分の電力供給契約を変更しなければなりません。総戸数100戸のマンションなら100契約、500戸のマンションなら500契約の変更手続きが必要になりますので、大変な仕事です。
では、その個別の電力供給契約の変更を行わず、高圧一括受電方式に変更できなくなったら?というのが今回紹介する判決(平成31年3月5日・最高裁判決)です。
結論としては、「他の区分所有者に対する損害賠償責任は存在しない。」となりました。その根拠は、「電力供給契約は専有部分に関する事項であり、マンションの管理組合が総会で決議したとしても効力を及ぼさない」というのが最高裁の見解です。
この判決で注意が必要なのは、原告が管理組合ではなく、区分所有者であり、被告がその他の区分所有者という点です。
管理組合は、総会の決議に従わない区分所有者に対し、区分所有法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)では、停止、除去、予防等を求めることができることとされています。
もし、管理組合が原告となった場合、この判決と異なる結論が導かれる余地は十分に存在します。
また、インターネット設備やインターホンの取り扱いが、同様に扱われるか、といった点でも影響が生じるかもしれません。
今後も注意深く見守る必要がありそうです。

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