不動産のまめ知識

賃貸Q&A「ホタル族の苦情」 ~ベランダ喫煙をやめさせられるのか~

  • 2015.09.07
Q.隣の入居者がベランダで喫煙するのをやめさせて欲しい、と苦情がありました。

「窓を開けていられないし、洗濯物にも臭いがついて迷惑」とのことで「やめさせないなら家主を損害賠償で訴える」とまで言っています。

これは、当事者同士の問題なのでは?と思うのですが。

 

喫煙所

A.家族に嫌われて、しぶしぶベランダで喫煙する人たちを「ホタル族」と呼んで同情したのは「今は昔」ですね。

「路上喫煙禁止条例」と言って、歩きながらの喫煙を禁止する自治体も増えています。

単なるルールではなく、罰金刑を明記している条例も多いようです。

分譲マンションでも、「ベランダ喫煙」を管理規約で禁止するところが増えています。

愛煙家の方には肩身の狭い世の中になりました。

禁煙

そうは言っても、非喫煙者にとってはタバコの煙は迷惑千万です。

「受動喫煙」とは、非喫煙者が喫煙者のタバコの煙を吸わされることですが、それによる健康被害が広く知られていますから、嫌煙されるのは仕方がありません。

今回の入居者さんは、「洗濯物の臭い」「窓を開けられない」等の苦情を訴えていますが、これが「家族に喘息の子がいる」というような事態だったら、もっと深刻な問題になるところです。

さて、まず確認したいのは、オーナーさんの賃貸物件は「禁煙アパートではない」、ということです。

室内やベランダでの喫煙を「禁止する」というような契約内容ではないと思われます。

となると、ベランダで煙草を吸う行為を咎めることは適当ではありません。

我慢

そこで『受忍限度』という概念が登場します。

『受忍限度』とは、社会一般的に我慢できる限度のことで、相手の行為が我慢の限度を超える場合には、不法行為に該当することとなります。

超えていなければ苦情を訴える側が我慢することになります。

その判断基準は「社会通念上」「一般的に照らして」とありますので、やや曖昧ではあります。

そこで質問ですが、苦情を言われている方がベランダで喫煙される、「時間帯」はいつ頃でしょうか。

一度に何本位をどれくらいかけて吸うのでしょうか。

その頻度はどうでしょうか。

毎日でしょうか、数日に一回でしょうか。

これらの実態を把握する必要があります。

そして、実際に洗濯物に付いた臭いや、窓から室内に入る煙の様子を確認する必要があります(できる限りで結構ですが)。

そうでないと「受忍限度を超えているかどうか」の判断がつきません。

限度を超えていると判断したら、すぐに注意をしてやめてもらうことです。

我慢する範囲と判断されても、「迷惑に感じている人がいる」ことを告げて、気を遣っていただくようにお願いすべきでしょう。

責任はある

オーナーさんは「当事者同士の問題なのでは?」と仰いますが、今回の件では貸主の責任も存在します。

受忍限度を超えた迷惑行為を知っていて「何もしない」のは債務不履行となり、損害賠償の対象になりかねません。

でも、「貸主の義務や責任」よりも、入居者に快適に長く暮らしてもらうために、積極的に解決に努力すべきでしょう。

この問題を放っておくと、入居者のどちらかの退去に繋がってしまう可能性もあります。

円満に解決することが「貸主の利益」になります。

そこでまず、「ベランダ喫煙」に対するオーナーさんの考えを明確にしてはどうでしょうか。

たとえば「今後はベランダでの喫煙を禁止する」として、契約書や入居規約に明記し、そのうえで入居者に宣言する。

以前からの入居者に遵守を義務づけることはできませんが、貸主の意思は伝わりますので、多くの人は遠慮するか気を遣うようになるでしょう。

今後のトラブルを防ぐこともできます。

あるいは、「禁止」までは踏み込まないまでも、「ベランダ喫煙は他人の迷惑につながるので気を遣って下さい」と宣言して、時間帯、喫煙の量、頻度などの制限を具体的に掲げるのです。

明確な規定がないのに、苦情がきてから「注意してください」とお願いするのは、対応が後手に回っている感があると思いますが、いかがでしょうか。

 
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